第3章 a day in our life <双子2歳>
「和、智、翔さんから電話だけどもしもしする?」
「ぱぱ?しゃと。もしもし!」
絵本を放り出して駆け寄る智。
「かずも、かずも、しるの!ぱぱ、もしもしなの!」
これまた勢いよく潤を目掛けて飛び込んでくる。
「め、しゃとなの!」
「や、かずなの!」
「しゃとの!」
「かずの!」
「智くん!和也くん!」
潤の声に二人が黙る。
潤が君付けで二人の名前を呼ぶことは滅多にない。
翔や雅紀もだが、なぜかこの3人、叱るモードになると君付けになることが多い。
流石に双子たちもその辺を理解し始めているのでピタリと止まる。
「二人とも仲良く出来ないなら電話、切るよ?」
「「ごめんなしゃい…」」
「仲良く交代ね?じゅんばんこだよ?」
「「ん」」
頷く二人に笑顔で応えつつ電話口の翔にゴメンと謝る潤。
「そっち、時間大丈夫?」
と、まだ局内にいるであろう翔に確認する。
『うん、もうほぼ終わって今、休憩中だから…。
スピーカーにしてもらえる?』
受話器を通して三人のやりとりを聞いて察した翔が言う。
「りょーかい」
そう言ってスマホの画面をタップした。