第3章 a day in our life <双子2歳>
キッチンの戸棚をみると…「あったあった」と小さく呟く潤。
ピンクの縁取りのある小さな袋をもって戻った。
「二人とも翔さんが戻ってくるまでいい子でいられる?」
「んー?しゃと、いいこ!」
「かずもいいこよ?」
「そうだよね?じゃ、おまけね?」
そう言って袋の中の動物の形のビスケットを3つずつ渡す。
昔なつかし【たべっこどうぶつ】、二人用に買ってた小袋を思い出して出してきた。
熱のあるときはとにかく食欲が落ちる二人なので食べてくれれば正直、何でもいいっていうのが偽らざる気持ちだった。
渡されたビスケットを嬉しそうに眺める二人。
「かずね、ひちゅじしゃんと、うしゃしゃんとわんわん?」
「和、それWOLFって書いてあるから犬じゃなくて狼だわ」
「わんわんじゃない?」
「うん、ワンワンじゃないな、それは」
「しゃと、とりしゃんとぞーしゃんとがおー」
「がおーって?あ、ライオンね?」
「がおーなの」
「そうだね?」
じーっとビスケットを見ていた和也が智に言う。
「さと、わけわけ」
「いーよ、どれ?」
智の象を取り、和也が自分の分を差し出す。
「どーぞ」
「んーと、しゃと、うしゃしゃん!」
「はい」
とウサギを渡し、二人ともニコニコしてる。
そしてそのまま手にしたビスケットを口にいれる。
「おいしーね?」と和也が小首を傾げると智も「ね?」と頷く。
それはそれはほのぼのとした光景が繰り広げられる。