第3章 a day in our life <双子2歳>
リビングのテレビでは翔の番組が放送中。
お昼の番組恒例のテレビショッピングのコーナーか流れている。
普段はグラスに入れるジュースを具合の悪い双子たちにあわせてストローマグにいれて持ってきた。
「はい、和、りんごジュースどうぞ」
「ありがと」
素直に受け取り飲みはじめる和也。
しばらくしてテレビショッピングのコーナーが終わりスタジオに切り替わる。
そこに映し出される翔の姿を見た途端、手にしてたマグを放り出す勢いで和也がテレビに食いつく。
小さな手のひらをプラズマテレビの画面に叩きつける。
「しょーちゃ、しょーちゃ、でて」
テレビの中の翔に向かって叫ぶ。
その声が聞こえたのか?それまで和室で寝ていた智もリビングにやってきて和也の隣で同じように騒ぎ初めた。
「しょーちゃ、ぱぱ!でて」泣きながらテレビを叩く智。
慌てた潤がテレビを消すとますます大声で叫ぶ二人。
「しょーちゃ、ないない、めー」と智。
「じゅんくん、ぱぱ、ない、ぱぱ、ない」と和也。
「あー参った。
今回は完全にいつもの習慣が裏目に出たわ」
思わずひとりごとが出る。
ため息をつきながら智と和也を宥める潤。
時計を見てとりあえず翔にメールする。
『仕事中にごめん。なる早で電話ちょうだい』と…。
「ふたりともそろそろ、なきやめよ。
翔くんまだお仕事中。
あとでもしもししよ?」
泣くだけ泣いてようやく少し落ちついてきたところで潤が声をかけた。