第3章 a day in our life <双子2歳>
2時間後…。
スタジオ内に響くスタッフのお疲れ様の声。
今日も無事、生放送は終了。
恒例の反省会もフロアーディレクターの采配で早めに終わった。
「翔くんお疲れさん、このあと帰るんやろ?」
横山が当たり前のように声をかけてくる。
「いや、このあとバラエティのナレーションがあるから、まだ帰らないよ」
「おまっ、智と和、具合悪いんやろ?
帰らんでええの?」
「家に潤がいるし、雅紀も今日は早めに帰るって言ってくれてるから…。
どうしてもダメじゃない限り仕事はちゃんとしたいんだ」
「真面目か!」
「横だってわかるでしょ?
どうしてもの時はちゃんと帰るし、皆に頭下げるから…。
潤や雅紀に頼る分、きっちり仕事、したいんだ」
局の廊下を録音ブースに向かいながらそんな話をする二人。
「ほんま、翔くんは真面目やなぁ。
まぁあんまり無理はすんなや?」
「ああ。ありがとな、ヨコ」
「なんや?照れるやん?そんなん言って」
「そう?これでもいつも感謝してるんだよ?」
「うわ、臆面ないな?なんか変なもん喰ったん?」
「おまっ!失礼だなぁ」
「ま、がんばりや?ほな、行くわ。またな。
双子たち早く治るとええな?」
歩き去る横山を見送って翔はブースに入る。
「さ、もうひと頑張り!」
小さく呟き気合いをいれる。
ブースの外の調整室に向かって声をかけた。
「すみません、準備OKです。よろしくお願いします!」
そこから驚くべき集中力を発揮し予定を大幅に巻いてナレーション録りは終了した。