第1章 少しだけスキャンダル<双子0歳>
「あの〜子どもたちの年齢は?
櫻井さん一人で育てられるんですかぁ?」
社名も名乗らず軽薄そうな物言いで質問する男性。
いかにもゴシップ記者という出で立ちに、ため息を飲み込みながら東山は答える。
「お子さんたちの年齢、性別、名前などはプライベートのためお答えしません。
もう一つの質問に関してですが…」
目線を櫻井に送る東山。
櫻井の目を見て言葉を続けた。
「櫻井からお答えします。」
正直、ゴシップ記者からの質問に答えさせたくはなかった。
ただ何も答えずに会見を終えることは出来ないだろう。
それにこの質問はきっと櫻井がこの先、何度も考えることになると思った。
なので…本人が話す気があるのなら答えさせるのもいいのかもしれないと判断した。
マイクを櫻井に渡し、勇気づけるように背中を一つ叩いた東山。
櫻井はその優しさに感謝した。
「『一人で育てられるか?』という質問にお答えします。
私は…一人で育てられるとは思っていません。
未熟な私一人で大事な命を守り育てることは不可能だと思っています。
家族や友人、そして保育園などたくさんの人の手を借り、大事な命を守っていきたいと思っています。」
一度、言葉を切った。
自分の思いを一言一言に載せるように言葉を続けた。