第3章 a day in our life <双子2歳>
本番前の最終ミーティングが終わり、メイク室に向かう途中、スマホを確認した。
本番が始まると基本的に連絡は取れなくなるのでメイク前に確認するのが習慣になっている。
ロックを解除して画面をタップするとメールありの表示。
世の中的にはミドリのアイコンのアプリが主流なのかもしれないが、基本、会社が非推奨にしている。
翔のようにテレビに出ていると本人としては一会社員なのだが世間的認知は芸能人などの公人的扱いをされる。
そのため、リスクのあることはなるべく回避するようにしている。
メールを開くと潤と雅紀からだった。
いすれも智と和也の発熱を知らせるもの。
雅紀からは処置の内容と今後の見通しが、潤からは今の双子の様子が送られてた。
たどり着いたメイク室。
それぞれに返信を返すと、今度は雅紀からは動画が、潤からは写メが届く。
普通、局アナにメイクさんやスタイリストさんが付くことはほぼない。
しかし、テレビ日本ではアナウンス部の東山の指示で局員専門のスタイリストとメイクスタッフがいる。
翔も顔馴染みのメイクさんにお願いしながら送られてきた写メと動画がみる。
そこには病院で雅紀が撮影した二人の姿。
その様子にホッと息をつく。
動画がみて笑う翔にスタイリストが声をかける。
「もしかして…双子ちゃんたちですか?」
「そう、熱が出たから保育園からお迎え要請掛かったみたいで…」
「え?大丈夫なんですか?」とメイクさん。
「うん、大丈夫みたい。
思ったより元気で安心したよ」
「それ、見せてもらっても大丈夫ですか?」
とスタイリストが言う。