第3章 a day in our life <双子2歳>
そして双子たちを見て続けた。
「和も智もよく頑張ったね!
二人とも偉かったよ」
その声に嬉しそうに笑う二人。
「帰ったら翔兄に、二人とも頑張ったって教えてあげようね。
チップとデールはお家に連れていっていいよ」
えって顔で雅紀を見る潤。
「それね、この間『二人に』って城島さんから貰ったの。
だからもともと二人のだから気にしないで持ってって」
城島は潤の亡き兄の友達でこの病院のシステム関係を一手に引き受けている業者の社長だ。
双子の事を自分の子どものように可愛がってくれている人で、病院に仕事で立ち寄るとなにかと雅紀に託ける。
今回もその一環らしい。
「じゃお礼しないと」という潤に
「あっそれなら大丈夫」と雅紀。
診察台に並んで座り、それぞれチップとデールを抱っこする双子にデスクから取り出したスマホを向ける。
「二人とも~、そのチップとデール、城島のおじさんがくれたの。
二人ともありがとうしようね」
雅紀の声に智と和也はぬいぐるみを抱いたままカメラに向かってお礼をする。
「りーだぁ、ありがとっ」と智。
ぬいぐるみを抱き締めてカメラに向かってふんわり笑う。
熱で潤んだ目が可愛さを倍増させる。
ここまでくると凶悪ですらあると思う。
「かずね、でーるもらったぁ。ありがとなの」とぺこりとお辞儀しながら言う和也。
こちらはカメラには笑わないものの、智にピタリと寄り添い、智に微笑む。
その様子を動画に収めた雅紀は「おっ二人ともカワイイ」と言いながら潤に言う。
「あの人にはこれが何よりもいいお礼になるから」
「それでいいの?」
「これがいいんだって」
「相変わらずだな、あの人も」
ニヤリと潤は笑った。