第3章 a day in our life <双子2歳>
「しゃと、じょーじゅ?」
「うん上手だよ。
智、チップ抱っこしてあげてね?」
智にリスのぬいぐるみを渡し、抱っこさせる。
「ほら、チップも智と一緒だね?」
そう言いながら聴診器をぬいぐるみに当てる。
「ちっぷ、しゃとといっしょ。
もしもし、じょーじゅね?」
雅紀を見ながら言う智。
潤も看護師もニコニコしながら見ている。
「はい、次お背中ね?さと、後ろ向こうね」
その声に潤が智を抱き直す。
背中に聴診器を当てられても、もはやグズる様子はない。
ゆっくり当てながら聴診する。
「智、おりこうさん。もう1回前向いて」
ぬいぐるみを抱えたまま前に抱き直されて、雅紀の手がお腹を触っても何も言わない智。
雅紀がぬいぐるみを触り、そのまま笑顔で言う。
「お腹も大丈夫だね?
最後、あーんできるよね?」
という雅紀の問いにも素直に口を開けた智。
基本、一度乗り越えればあとは素直な智。
問題は乗り越えさせるまでだが、毎度、そのハードルは高い。
喉を見ながらリンパ腺を触る。
「智は扁桃が少しが腫れてるね?
これが熱の原因だろうなあ。
薬、どうしようかな?」
言いながら智の様子を注意深く観察する。
「さと?ご飯食べれる?」
「ん、たべぅ」
「食欲もあるみたいだし…解熱鎮痛剤でいこう」
そう呟いてカルテに打ち込む。
智を抱く潤に声をかける。
「潤くんおつかれ。二人とも大丈夫だから。
智だけ薬ね。
とりあえず炎症を抑える薬で様子みよう。
それで熱が下がれば問題なし!」
雅紀はにっこりと笑って潤をみた。