第3章 a day in our life <双子2歳>
「あら、随分温かいね、さと?」
抱っこした智の背中は明らかに熱を持ってる。
洋服越しに感じる高い体温が具合の悪さを物語ってる。
これはグズるハズだよと雅紀は思った。
「ないよ、しゃと、おねちゅ、ない」
「そっか?ないの?お熱」
「ん、ない」
相変わらず頑固な智。
笑いながら雅紀はリスのぬいぐるみの片割れをデスクに置いて寝かせた。
「智、チップもね、さっきからもしもしイヤって言ってるの。
チップね、お熱あるのに…困ったね?
チップ、これ以上お熱が上がったらチックンしないとダメなの。
今のうちにモシモシしたらチックンないんだけど…。
さと手伝ってくれる?」
「おてちゅ?」
「うん、お手伝い」
「ん~いいよ」
「ありがとう、さとはやさしいね?」
褒められて満更でもない様子の智。
「じゃ、1回、潤くんのところに戻ろう?」
そういって再度、潤に手渡す。
和也は診察が終わってすっかりご機嫌で顔見知りの看護師と遊んでいる。
「さとがお手本だからチップに見せてあげて」
そういってデスクの上のぬいぐるみを座らせ、智の方に向けた。
「じゃまずモシモシからね?
さとはお兄さんだからチップにお手本見せれるもんね?」
暖めたチェストピースをシャツの裾から潜り込ませる。
「さと?大きくすーはーって出来る?」
こくりと小さく頷いて大きく深呼吸する智。
「ん、胸は大丈夫だね?」