第3章 a day in our life <双子2歳>
和也の喉は赤くなっていた。
「あー、喉赤いね?これが原因だろうね?」
口を開けてる和也の頭を撫でながら
「和、頑張ったね、さすがお兄さん」と笑う。
和也は誇らしげな顔をして
「かず、おにいしゃんなの」と智に向かって胸を張った。
ところが和也の目線の先にいる智は残念ながらそのどや顔の和也を見るほどの余裕はなかった。
熱による怠さと病院に対する拒否感でもうぐずぐず。
ずっと潤があやすがなかなか機嫌が直らない。
とにかく落ち着かそうと潤が大きな手で背中をポンポンと叩く。
和也の診察が終わった頃にようやく落ち着いたものの泣きすぎてボーっとしてて、和也の言葉が耳に入る状況じゃなかった。
「潤くん、さと、いけそう?」
和也の頭を撫でながら雅紀が聞く。
「うーん、たぶん?」
ようやく落ち着いたけど、いざ、診察となるとどうなるか?
潤も正直自信はなかった。
「さーと?ほら、こっち向いてごらん?」
智が雅紀の声に応えるように顔をあげる。
小さいなりに葛藤中の智。
熱で辛いし、病院は嫌い。
でも…雅紀のことは大好きだから。
その雅紀が自分の名前を呼ぶ。
でも診察は嫌。
それでもなんとか顔を上げた智に雅紀は太陽のような笑顔をみせる。
雅紀が白衣を着てないのに安心したのかようやく智が声を出す。
「まーくん、だっこ」
「おっし、さとおいで」
潤の腕から雅紀の腕に移動した智。