第3章 a day in our life <双子2歳>
診察室に入り、診察台に腰を下ろす潤。
そのまま腕の中の双子も降ろす。
いくら標準より小さめでも暴れる双子を両腕に抱えるのは疲れる。
「大丈夫?」
にこにこ笑って聞く雅紀。
「俺?智たち?」
「ん?両方」
「俺は大丈夫だよ?いつものことだしね?
智は保育園で最後に計った時点で38.3℃、和が37.9℃だって。
グズって熱があるだけで二人とも下痢や嘔吐はないってよ」
保育園で担任から聞いた二人の様子を雅紀に伝える潤。
事前の様子が分かれば雅紀の診断の助けになることはこの2年半で十分すぎるほど学んだ。
「パーフェクトじゃん、説明。
たまにいるテンパったママさんに聞かせたい位だね」
「ばーか、さすがに慣れたよ」
「いやいや、そうでもないんだよ、これが」
二人が話している間にようやく少し落ち着いた様子の双子。
和は診察台の上のぬいぐるみをロックオンしている。
「お、和、気づいた?」
「いーたー?」
「そう、イースターバージョンのチップとデールだよ」
手を伸ばす和也に赤い鼻のリスを渡す。
「でーる!」
「そう、デールだね。
デールね、お熱出ちゃったからここにいるの。
さっき、もしもししてお薬飲んだからもう元気なんだって。
お熱、和とおんなじだね?
和はデールみたいにもしもしできるかな?
そしたら、デールと遊べるよ?」
和也が持つリスのぬいぐるみを撫でながら、顔を覗きこむ。
しばらく考えた様子の和也。
「でーるとあしょぶ…」
「じゃ、もしもし出来る?」
とデスクに置いてあるアヒルのぬいぐるみ付きの聴診器をみせた。