第3章 a day in our life <双子2歳>
レンガ調のタイルで覆われた大きな建物。
雅紀が勤務する大学病院は県内でも有数の大規模病院で三次救急の指定病院でもあるため昼も夜も忙しい。
母校の大学病院で研修をしそのまま入局というオーソドックスな過程を考えなくも無かったが実家近くのこの病院に馴染みがあったせいか研修医として研修先を考えるときにこちらに応募していた。
もちろん、近いからだけではない。
兄のように慕い、医師として尊敬する松岡がいることや、周囲に住宅地が多く子どもも多いため様々な症例に当たることが出来るとも考えた。
今はなによりも経験を積むことが大事だと考えたから。
結果、希望通り、研修医として勤務を始めそのまま小児科医としてこの病院に勤務している雅紀。
NICU経験者の双子たちにとってはこの病院はフォローアップの関係もありかかりつけであり、雅紀は主治医となっている。
普段、午前中はほぼ外来に入っている雅紀。
その明るいキャラクターは看護師はもちろんのこと患児やその保護者に絶大の人気を誇る。
それだけではなく、病院に出入りする製薬会社の担当者をはじめ保健師などからも人気がある。
本人はその辺は全く無頓着なのだが…。
そのせいは分からないがやたらに電話が入るらしく、応対に困った交換からクレームめいた相談が持ち込まれた。
その時から雅紀宛の外線は基本、本人以外に繋ぐことになった。
翔と潤を除いては…。