第3章 a day in our life <双子2歳>
和也を抱いたまま担任が潤に経緯を報告する。
「智くん、朝のおやつの頃から機嫌が悪くて心配になって体温を計ったら発熱してて…。
和くんはお散歩まではご機嫌だったんですけど帰ってきてから急にグズりだして…。
智くんが居ないからかと思ったんですけど、念のため熱を計ったらやはり発熱してて」
別に担任が悪いわけではないのでフォローするように潤が言う。
「やっぱり双子ですね?
むしろ、いいタイミングで来てくれて良かった。
和、まーのところに行こうね」
「まーくん?」
いつもよりもゆっくりした口調の和也。
具合の悪さが見える。
そう言って智を抱いたまま和也に手を伸ばした潤。
「すみません。いろいろありがとうございました。
二人とも連れて帰りますので。
タイムカードだけお願いしてもいいですか?」
「もちろんです」
そう言って玄関まで和也を抱いてきてくれた。
玄関に用意した双子用ベビーカーに二人を乗せる。
担任たちはしゃがみこみ、智と和也に声をかける。
「さとくん、かずくん、早く元気になってまた保育園で遊ぼうね?」
ふたりともいつもの元気はないけど潤が来た安心感なのか声をだしてそれに応える。
「「しぇんしぇーさよーなら」」
「智くん、和也くん、さようなら」
担任と子どもたちの挨拶を見届けて潤が改めて言う。
「櫻井にはこちらから伝えておきます。
なにかありましたら、またこちらから連絡します。
色々ありがとうございました」
一度頭を下げて「失礼します」と言いながら保育園を後にした。