第15章 SAKURAドロップス <双子3歳>
東京の開花宣言から少し経った4月の日曜日。
年度末と年度初めの諸々を乗り越え双子達も無事に年中に進級して何となく落ち着いたころ、約束の花見に出掛けた5人。
開花後、あっという間に満開になり散ってしまうかと思われた桜だが天候の妙で満開まで時間がかかりちょうど良いタイミングで満開を迎えた。
家からは少し歩くけど地域では一番大きい公園は家族連れで賑わっていた。
5人も他の家族連れ同様、大きめのレジャーシートを敷き、近くのショッピングモールで購入したお弁当を用意した。
「別に作ってもよかったのに」
潤はさも当たり前に言う。
でも今回は翔の提案で近場で買って終わらせた。
「いいんだよ、たまには手を抜いて。
そうでなくても日頃からだいぶ負担かけてるって思ってるのに…」
「じゅんくんのごはんすきよ」
「でもこのぱんださんのぱんもおいしいの」
潤の気持ちを知ってか知らずかニコニコしながら双子が喋ってるのを聞きながら雅紀が潤の肩ポンと叩く。
「ほら、2人も笑顔だし、いいじゃん?
はい、これ。
結構美味しいって医局でも評判なの」
そう言って潤に寿司の入った折り詰めを差し出した。