第15章 SAKURAドロップス <双子3歳>
双子の声を聞きながら潤も頭上に目をやる。
桜の枝にはたくさんの蕾が付いている。
そして、その蕾はだいぶ膨らみ始めていた。
「そうだねぇ、次に暖かくなったらきっと咲き始めるだろうね。
そしたら見に来ようか?」
多分これ以上聞いても求める答えは出ない気がしたからなぜ桜の開花を待ち望んでるのかを聞くのを諦めた潤。
「うん!みるぅー」
「しゃとも、みるー!」
「じゅんくんも、まーくんも…パパも?」
「あぁ、そうだね。
桜が咲いたらみんなでお花見にいこうか?
お弁当もつくってさ?」
番組の改編期でここの所とても忙しい翔。
日付が変わってから帰ってくることもしばしばで双子も会えない日が続いていた。
それでも翔に会いたいと騒ぐことなくいる双子たち。
だからこそ少し寂しげに翔も含めて花見がしたいと言った和也の気持ちに応えてあげたくなった潤。
まだ咲かない桜を見上げて、スケジュールを算段しはじめる。
「二人とも帰るよ?
帰ったら天気予報みようね。
で、パパとまーくんにも『お花見しよう?』って伝えようね」
潤の提案に智も和也も満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。