第15章 SAKURAドロップス <双子3歳>
三寒四温とはよく言ったもので昨日は上着が要らないくらい暖かかったのに今朝は一旦仕舞ったコートを出してきた。
双子も青と黄色の揃いの中綿ダウンを着て今は潤の前を歩いている。
4月になれば4歳児クラス、つまり年中さんになる2人。
時間の経つのは早いと思わずにいられなかった。
「じゅんくーん!」
「ねえねえ、これさぁ!」
双子の明るい声が自分を呼んでるのを聞いて意識を2人に向ける。
「ん?どうした?」
木の下に立ち止まった2人はその木を見上げていた。
「これ、しゃくら?」
智は小さな手をのばし、小さな指ではるか頭上にある木の枝を指す。
「うん、そうだね、桜の木だね」
「さと、さくらだって!」
「うん、かじゅ、ふってくるね!」
桜を見上げ嬉しそうに頷きあう双子に対して全く意味のわかってない潤の頭にははてなマークがぐるぐると回る。
「2人とも?どういう意味?」
そう聞いても全く説明をしようとしない双子。
「ねーじゅんくん、いちゅ、おはなさく?」
「いっぱいいっぱいしゃく??」
逆に目をキラキラさせながら2人は矢継ぎ早に潤に聞いた。