第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「パパ、のみおわった?」
「あのね、ほしいえほんがあるの」
アイスクリームを食べ終わった双子を本屋に連れて行ってくれていた雅紀が双子たちと戻ってきた。
「お、雅紀、ありがとう。
で、なんの本が欲しいの?」
雅紀に礼を言った翔が和也に聞く。
「あっちにあるからいっしょにきて!」
和也が翔の手を引く。
「わかったよ、じゃ、見に行くか」
立ち上がった翔が双子にいう。
そのままついでのように言った。
「2人ともさ、何度言っても通じないならもう、言わなくていいよ。
遊ぶのもね、仲良しのお友達とでいいと思うよ」
それを聞いた雅紀が双子に笑いかける。
「ね?言ったでしょ?
いいんだよ。
そりゃね、みんなと仲良く出来たら最高だけど…難しい時もあるんだよ。
そういう時はね、無理しなくていいの」
ゴミを片付けて戻ってきた潤も言う。
「そうだよ、そのうち解決することもあるし、ずっと一緒な訳じゃないから。
卒園したらバイバイだしね」
「パバたちは2人が笑って保育園に行くのが1番なんだ」
それは3人の偽らざる本心だった。