第3章 a day in our life <双子2歳>
双子用のお出掛けバッグに保険証。
スマホから雅紀の病院にかける。
「お忙しいところすみません、松本と申します。
小児科の相葉先生はご在席ですか?」
雅紀の勤め先に架けた電話。
病院の受付に繋がる。
『相葉先生にどのようなご用件ですか?』
いつもならすぐに小児科に回してもらえるんだけど…新しい人なのかな?なんて思いながら潤は続けた。
「相葉の家のものです。
子供たちのことと伝えてもらえれば…」
『え?こども?』
明らかに戸惑ったような声。
受話器越しに別の女性の声が聞こえて、そのまま換わった。
『失礼しました、松本様ですね?
相葉先生から言付かってます。
ただ今確認しますのでお待ちください』
保留音の後、『もしもし』っていう聞きなれた声が聞こえた。
「もしもし、まー?潤だけど」
『智か和が熱でも出した?』
「当り。智が熱出したって保育園から」
『これからお迎えでしょ?
午前診の最後当りに予約入れとくから連れてきて』
「よくわかったね?ってわかるか?ありがとね?
保育園から直行する」
『和は元気なら、出来れば後からお迎えの方がいいかな?
へんなの拾っても困るし…』
「だよね?保育園に相談してみる。
多分既に隔離されてるだろうから、大丈夫じゃない?」
仲良し兄弟の智と和也。
基本、いつも一緒なので別行動が難しい。
泣き叫ばれるのは今も慣れない3人だった。
「じゃ、あとでね?雅紀せんせ」
そう言って電話を切る。
翔さんへの連絡はいつも受診後。
じゃないともろもろ判断もつかないだろうからというのが理由で翔も納得している。
潤は荷物を片手に車のキーを持ち、家を出た。