第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「雅紀は今日は泊まりになりそうだって」
潤が夕飯を食べながら翔に伝える。
「あぁ、台風が近づくと気圧の関係で体調崩す人増えるもんな」
「うん、だからね、『智と和の吸入、忘れないで』だって」
「了解。ふたりともお風呂終わったらおくすりね?」
潤に返事しながら双子にも伝える翔に双子が顔をしかめる。
「えー、さとやだ」
「ぼくもやだ」
「『やだ』って吸うだけじゃん」
潤がなんで嫌がるのかわからないという顔で二人にいう。
「だって…にがいんだよ?」
「なんかおくちのなかがへんなんだよ?」
小さい頃からもう何度も行っていることなのに今日はやけに抵抗する二人。
「でもさ、喘息でひゅーひゅーしたらお泊り保育、いけなくなるよ?で代わりに雅紀のところで入院になっちゃうかもよ?」
翔が吸入をしなかったらどうなるかを説明すると智と和也はお互いの顔を見ながら何かを考えている。
「そんなのやでしょ?ふたりとも。お泊り保育したいからさっきてるてる坊主も作ったんじゃん?」
潤も二人に何を優先すべきかをやんわりと教える。
その二人の言葉に双子は小さく頷いた。