第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「ほんと?」
「うん、本当」
「たいふー、いなくなる?」
「うん、予定では夜中に通り過ぎるから平気だよ。
明日の朝はきっとお天気だよ」
リビングに行きながら疑り深そうな眼差しで見つめる和也と智に翔は今の予報を伝える。
そんな翔の目に入った窓辺に吊るされたてるてる坊主。
「随分いっぱい作ったねぇ、てるてる坊主」
素直な感想を述べる翔に双子が言う。
あれは自分たち家族なんだと。
それを聞いた翔が数えると確かに7つ。
2人の気持ちが見えた気がする翔はニッコリ笑って言う。
「きっと大丈夫。
あんなにてるてる坊主がいるんだもん。
しかも智と和が一生懸命作ったてるてる坊主の家族だろ?
お空のお父さんとお母さんが絶対に晴れにしてくれるよ。
お泊まり保育、絶対楽しめるよ?」
「おとたんとおかたんみてる?」
智が翔を見上げる。
小さい頃お父さんお母さんときちんと発音出来なかった智。
その当時の発音はいつの間にか亡き両親のあだ名のようなものになった。
保育園で実際に友達が呼ぶお父さんお母さんとは違うとどこかで線引きしてるように見える。
でも…翔たちはそれを否定する気にはなれなかった。