第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「パパおかえり!」
「きょうははやいんだね!」
夕方、生放送を終えてすぐに家に戻ってきた翔に双子が飛びつく。
「ほんと、今日はやけにはやくない?」
足元にくっつく双子の頭を撫でてる翔に潤も不思議そうに言う。
「うん、とりあえず一旦帰ってきた。
ただ場合によっては中継に出るかもしれないからさ。
ほら、帰宅ラッシュの時間はまぁ平気かもだけど夜中に来たら駅前、中継ポイントになるから」
翔の一言に納得した潤。
彼らの住む地域に走る路線は割と天候の影響を受けやすい路線で有名で台風が来たり大雨が降ると駅前に中継が出る事がある。
朝の報道番組で時々、翔の同僚や後輩が中継してたりするのを潤も雅紀も知っていた。
「なるほどね?じゃぁ夜中に呼び出される可能性があるから一旦帰ってきたんだ?」
「そういうこと。もちろん、駅に人がいる時間に直撃しなかったらお役御免だだけどね?」
なんとも不穏な会話をする大人たちを少し不安そうな顔で双子が見上げる。
「ふふ、大丈夫だよ、二人とも。
今の予想だと、台風はお泊まり保育の前にバイバイするから」
翔は双子ににっこりと笑いかけた。