第13章 バレンタインデーキス <双子5歳>
そんなこんなで迎えたバレンタインデーの当日。
双子はいつもよりも少しだけおしゃれな格好をしていった。
送っていった翔がみたクラスはいつもよりもだいぶ華やいでいたらしい。
保育園側もトラブルにならないように配慮をすれば文句も言わない。
最近は友チョコが流行りだからちょっとませた女の子たちはクラス中にばらまいていたらしい。
「ただいまーーー!チョコもらった」
「僕も!たくさんもらったよ!あとで分け分けするの!」
智も和也も保育園の通園リュックからチョコレートやクッキーを出して誇らしげだ。
「お、ふたりともすごいじゃん、誰から貰ったの?」
潤は二人に聞きながらその場で名前をメモっていく。
お返しを考えないといけないからね…。
「あ、そうだ、ふたりともこれも食べていいよ」
そう言って潤も袋からチョコレートを出した。
潤が双子と夕食を食べていると玄関から声が聞こえた。
「ただいま…」
少し疲れた声の翔。
「おかえりなさい!」
椅子から飛び出さずに声を掛けれるようになったのは成長だと思う。
紙袋を両手に抱えた翔がリビングに入ってきた。
「どうしたの?疲れた声出して」
「そりゃ…お前…わかるでしょうよ?」
ますます疲れた声で翔が返した。