第13章 バレンタインデーキス <双子5歳>
「で?結局なんであんなこと言い出したの?」
夕方、珍しく早く帰ってきた雅紀が聞く。
「あのねー、ばらんたいんだからかっこよくするとチョコもらえるんだって」
「涼ちゃんがいってたの。
ばらたいでーはおんなのこがチョコくれるの!」
和と智がそれぞれ微妙に間違いなから主張してくる。
「だからね、まーくんとかじゅんくんとかテレビのパパみたいにしたいの」
「翔さんだけ【テレビの】なの?」
双子の話を聞いていた潤が口を挟む。
「そう!テレビのパパかっくいーの」
それって暗に普段の翔さんはセンスが無いって言ってるようなもんじゃないの?と思いながら智を見る潤。
「あのね、ゆみちゃんとみきちゃんが和にチョコくれるっていったの」
「僕もね、あやちゃんと咲ちゃんとローズさんのなみちゃんとのりちゃんもくれるって」
「「だからかっこよくしないとダメなの!!」」
ユニゾンで主張する二人。
ってか智のほうがモテるんだ…。
ちらっとそんなことを思った雅紀。
なるほどね…理由がわかったよ。
「ふたりともそんなことしなくても十分にかっこいいよ」
潤が宥めるようにいうけどいまいち納得しない二人。
「じゃぁさ、少しおしゃれしたら?」
雅紀の一言に双子の目が輝いた。