第13章 バレンタインデーキス <双子5歳>
付き合ってあげたいけど時間が限られてるのでしかたなしに雅紀はまた鏡に向き直ってヘアスタイリングをはじめた。
「まーくん!あのね…」
何かを決意したような顔で智が雅紀に声をかけた。
「ん?どうしたの?」
一旦手を止めて智の方を向く。
「あのね…、さともかみのけ…したいの」
「髪の毛?え?なに?セットしたいの?」
「まーくんみたいにかっくいーのがいいの」
「まーくん、かずも!かっこよくするの!」
「ちょっ…ちょっと待って」
すごい勢いで足元に来た双子に驚きつつとりあえず助けを呼ぶことにした雅紀。
「ねー潤くん!翔ちゃんも!!お願い!ちょっと洗面所来て!」
時計を見ながら叫ぶ雅紀。
その勢いに潤と翔もやってきた。
「そんな叫んでどうしたの?」
「いや…ちょっと時間的に厳しいから…。
なんかね、智と和が髪の毛をセットしたいって言い出して…。
理由もわからないけど、理由聞いてる時間が無いんだよ」
「そういうことか。いいよ、俺、今日は時間あるから二人に聞くから雅紀は支度して?」
「ごめん、翔兄、助かるよ」
そのまま一気に支度を終えると雅紀は双子たちにも謝りながら家を出た。