第12章 promise <双子10歳>
「二人ともさ、タレントの自覚ある?」
潤が諭すように言う。
小さい頃、ちょっとしたことからはじめた子役の仕事は今でも細々と続けている。
翔の仕事の都合で休んでいた時期も合ったが、最近、再び事務所に入ってオファーも多少増えてきていた。
真剣にタレントになるつもりはないみたいだがかといってやめるつもりもないみたいで…。
成長して可愛い系イケメン双子と言われるようになってきた二人。
「二人とも事務所との約束、覚えてるよね?」
潤が確認するように言う。
雅紀もいつもの笑みを隠し、真面目な顔で二人を見ていた。
「…むやみに写真を撮られちゃダメって」
和也が言う。
「知らない人と一緒に写真は撮らない。
学校の行事はいいけど
ネットはダメって…言われた」
智も言う。
「ちゃんとわかってるじゃん?
なのになんで?
二人ともお仕事してる人だから…
パパは一人前の大人として話すね?
あのね、大人の世界には
【契約】ってものがあって
それはとても大切なの。
だからそれを破るようなことは
しちゃダメなんだよ。
それにね、智たちや俺のような仕事はね
イメージも大事なの。
それを台無しにするような事は
しちゃダメなんだよ?
もしもね、それを守らないなら…
お仕事、辞めないとね?
いろんな人に迷惑を掛けちゃうから…」
親の立場と社会人の立場、そしてメディアに出る特殊な立場。
すべてをわかっている翔の言う一言は重い。