第11章 ハッピーバースデー大作戦 <双子12歳>
「そっちは?」
同じ中身だけどラッピングの違う袋を差す翔。
「こっちもプレゼント!これは別の先輩用。
先輩、ガーベラの花が好きだって
前に言ってたから、こんな風にしてみた」
和也がリボンと一緒にガーベラの花の付いた袋を手に取った。
「最後はこれ!」
カラフルなデザインの箱に翼のイラストか描かれた箱にクッキーを入れた和也。
それに智が綺麗にリボンをかけていく。
「うわー綺麗な箱!」
着替えた雅紀もキッチンにやってきて皿に乗ったクッキーを早速摘む。
「で、それどうするの?」
これまでの状況のわかってない雅紀が二人に聞く。
「うん、塾でね、5月生まれの
先輩たちにあげるの。
ねぇ、のんたん覚えてる?
保育園の時に1個上にいた…」
智が昔を思い出すように言う。
「あぁ…覚えてるよ。
家族だったお姉さんね?」
翔が記憶の底からその名前を引っ張りだしながら答える。
「いまね、塾で一緒なの!
でね、いつも優しくしてくれるのんたんと
二人の先輩の誕生日が近いって言うから
今日の授業のあとに
誕生日プレゼント渡したくて…」
和也が紙袋に丁寧に3つのプレゼントを入れながら言った。