第11章 ハッピーバースデー大作戦 <双子12歳>
「ただいまー!
うわ、なにこのいい香り!」
この春、家の近くに小児科医院を開業した雅紀が土曜日の診療を終えて帰ってきた。
「まーくんおかえり!」
「お仕事お疲れさま、まーくん!
もうすぐ出来上がるからあとで摘めば?」
黄色いエプロンをつけた和也と青いエプロンをつけた智が雅紀を迎える。
「うん、もらうもらう!
とりあえず着替えてきちゃうね!」
変わらぬ笑顔を振りまきながら雅紀が自室に戻る。
再びキッチンに戻った双子がクッキーに飾り付けをして冷ます間にラッピングの準備をはじめた。
その様子を見に来た翔たち。
「智…なにその箱に書いてあるイラスト」
職業柄、キャラクターや商標につい反応する潤がラッピング用の箱に描かれた不思議なキャラクターに目をやった。
「これね、僕が作ったオリジナルキャラクター。
なまこのなまっち。
ほかにね、紫のうしくんとかあおちゃんとか
レッティーとかいろいろいるの。
塾で遊びで書いたらさ、
先輩がすごい気に入って…。
これはその先輩へのプレゼントだから
オリジナルで箱をつくったの!」