第11章 ハッピーバースデー大作戦 <双子12歳>
真新しいブカブカの学ランに袖を通した二人とともに迎えた入学式。
いままでも大分早起きをすることになった二人は新しい生活にクタクタになりながらも徐々に中学生らしくなってきた。
部活を決めて帰りがバラバラになる日もでてきたけど相変わらず仲のいい二人。
ゴールデンウィークも終わり、初めての中間試験も終わった土曜日、二人してキッチンを占拠してた。
「さとー、これで混ぜればいいの?」
「うん、そう書いてあるよ!
ねぇ、和、型抜きってこれだけだっけ?」
「あれー前に買ってもらったリスのやつ
なかったっけ?」
「あっ!ちょっと待って!こっちかも!」
忙しく二人でパタパタやっているのをリビングにいる翔たちが見守ってる。
「なーあれ、大丈夫なの?」
心配そうな翔に潤が笑顔で答える。
「大丈夫、大丈夫。もう何度も作ってるし…。
あの二人、筋もいいから」
「いや、でもさ、ほら火傷とか…」
「それもね、オーブン使う前には必ず
俺に声をかける約束になってるし、
勝手に使わないって約束の上でやってるから。
それにクッキーは案外かんたんにできるから
心配しなくても大丈夫だよ、翔さん」
双子がいくつになっても翔の心配症は健在だった。