第3章 a day in our life <双子2歳>
潤の事務所は港区六本木にある。
弁護士は事務所を規定により所属する弁護士会がある都道府県にしか置けない。
もともと東京第一弁護士会所属の潤は独立するにあたり事務所を六本木に構えることにした。
もとの事務所との業務委託や事務所の箔付けなどを考えた時、その方が都合が良かったからだ。
もっとも六本木の事務所には用事がない限り行かない。
事務所には何人かの弁護士(居候弁護士、通称イソ弁)がいるので常にいなくても問題ない。
何かあれば彼らから連絡も入る。
オフィスの賃料を考えると決して安くはないがそれでもメリットの方が大きい。
都内に事務所を構え、自分は隣県の自宅で仕事する、これが潤が双子たちを翔たちと育てるのを決めたときにたてた計画だった。
そして彼はそれを実行した。
独立した今、仕事は想像以上に順調で自分のペースで時間を使える状態にしていた。
新規の依頼の際、必ずこちらの現状を伝えてそれでも構わなければという条件で仕事を引き受けている。
ともすれば高飛車と取られそうな態度だが、逆に誠実だと評判が上がり、仕事には事欠かない。
弁護士とはいえ、基本、個人事業主。
自ら、営業しないと仕事は取れない。
それでも彼のもとにはひっきりなしに依頼が来る。
そのほとんどが彼のファンになったクライアントたち。
某ネズミの王国もビックリレベルの驚異のリピーター率を誇る。
今、Skypeを繋げているクライアントもご多分に漏れず、リピーターだったりする。