第1章 少しだけスキャンダル<双子0歳>
「先日、東名高速で起きた大規模な玉突き事故がありました。
覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?
あの事故に…私の妹夫婦が巻き込まれそのまま鬼籍に入りました」
出来るだけ感情的にならないようにと気持ちをコントロールしながら続ける櫻井。
「妹はあの事故の前に出産しその後、入院している子どもの見舞いに行く途中にあの事故に巻き込まれました。
甥たちはあの事故で両親を失いました。
既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが私の両親は既に鬼籍に入っております。
義弟のご両親も既に亡くなっています。
そこで…私が甥たちを引き取ることにしました。
妹たちのこと、甥たちのことなどを考えて周りにも相談した上で出した結論です。
手続きなどをしている過程で今回の報道が出たようで正直、困惑しております。」
綺麗に整った顔に苦悩の表情を浮かべた櫻井。
「私は確かにテレビに出る人間です。
自分が行ったことが原因でこのような形で報道などがされること、プライベートが探られることもある程度覚悟の上でこの仕事をしています。
しかしながら生まれて間もない甥たちや私の家族、そして周囲の方々はそのような対象ではありません。
騒がれることも当然望んでいません。
今後子どもたちが大きくなるにつれ、今回のようなことが起こると子どもたちの成長の妨げになることも考えられます。
私は伯父として子どもたちの保護者としてまた一社会人として子どもたちの将来のためにこのようなことは避けていただきたいと思っております。
勝手だとは思いますが…。
どうか静かに見守っていただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。」
そういって櫻井は再び深々と頭を下げた。