第10章 冬のニオイ <双子3歳>
出来上がった雪うさぎを縁側に並べた5人。
智と和也の作った小さな雪うさぎの周りに少し大きなサイズの雪うさぎが2匹とうさぎなのかなんなのわからない雪玉が1つ…。
「ほんと…翔兄って…変わらないよね…、
期待を裏切らないっていうか…」
「イケメンの人気キャスターなのに…。
でもこの不器用さがまたくすぐるのかな?」
雅紀と潤が翔の作った雪うさぎもどきを眺めながらしみじみと言う。
「うっさいなぁ…。
だから嫌だったのにぃ…」
翔が恨みがましい目で雅紀たちを見る。
「いや…だってねぇ?」
「さとたちもパパと作りたかったよねぇ?」
雅紀も潤も爆笑したいのを抑えながら智たちを巻き込みつつ翔の恨みがましい目から逃げようとする。
「ばばのうしゃしゃん、ねんねなのね?」
「つかえちゃったんだよ〜」
智と和也かフォローにならないフォローをしている。
そんな二人を抱きしめる翔。
「ふたりとも…ありがとう。
さ、そろそろお家に入ろう?
風邪引いたら保育園、
行けなくなっちゃうよ?」
「やー!まだあしょぶ!」
「かずもーー!ゆき、たのしいよ!」
翔の腕の中から抜け出てところどころ雪の無くなった庭を駆け回る智と和也。
危ない!って三人が声に出そうとした瞬間、転ぶ智と和也。
「うわーーーん」
「いちゃーーい」
二人の泣き声が庭に響いた。