第10章 冬のニオイ <双子3歳>
「智!ほら、こっちで和といっしょに
うさぎ作ろう?」
潤が智の気をそらすようにいった。
「うん、かず、
うさきしゃん、つくるー!」
勢いよく潤のもとに走って来た和也を転ばないように支えながら潤は和也に作り方を教えた。
「じゅんくん、こお?
ふふ、ゆきーちめたいー」
ころころと笑いながら和也が雪と戯れる。
その様子を遅れて出てきた翔が楽しげにファインダーの中におさめ、時間を切り取っていく。
カメラのレンズをむくれたままの智に向け、何枚かシャッターを切る翔。
「智?やらないの?
パパ、智の作るうさぎさん、見たいなぁ」
「うーーー。しゃと…おらふ…」
「オラフはなぁ…エルサがいないと…。
でも雪うさぎなら智でも作れると思うよ?
お、和、上手だなぁ」
そう言いながら嬉しそうに翔に作った小さな雪うさぎを見せる和也の笑顔をカメラにおさめる。
「さと?うさぎしゃんかわいいよ?
このこにおともだち、つくろう?」
ふてくされすぎて、どうしていいかわからなくなってる智に和也がなんでもない顔で言う。
そのままトコトコと智のもとに歩み寄るとそっとその手を取った。
そして、笑いながら智と雅紀に声をかける。
「ね?さと、つくろ?
まーくんも!
おっきいうさぎしゃん、つくって!」
「よし!大きいうさぎ、つくるか?
さと、どっちがかわいいか競争ね?」
雅紀が智を抱き上げると和也も智も可愛い笑顔をみせた。