第10章 冬のニオイ <双子3歳>
「まーくーん、おらふ!おらふ!」
「じゅんくーん、おらふ、にんじんちょーだいだよ」
明るいブルーのスキーウェアにスティッチの耳のついた毛糸の帽子を被った智が雅紀の周りを飛び回る。
黄色のスキーウェアを着た和也はプーさんの毛糸の帽子をかぶって潤に人参を催促している。
足元はそれぞれお気に入りの長靴を履き、ミトン型のおそろいの手袋をした双子は雪で濡れるのも厭わずに、初めての雪を心ゆくまで堪能している。
庭に積もった雪は日の光を浴びてキラキラと輝いていた。
「おっし!作るぞ、雪だるま!
さと、まずは小さな雪のお団子つくって!」
雅紀が智に声をかけ、基本になる雪玉を一緒につくる。
「和はこっちね?」
潤も和也と雪玉を作る。
それを大人と子どもでコロコロ転がし始める。
が、所詮対して広くはない庭。
雪の量が圧倒的に足りない。
頃合いを見計らって雅紀と潤がそれぞれの雪玉を重ねて雪だるまもどきが完成した。
けど…その出来上がりをみて不満そうにしてる智。
「まーくん!じゅんくん!これ、ちがうよぉ!
おらふじゃない!
しゃと、おらふがいい!」
「さと、しょうがないよ。
この雪の量じゃオラフ、できないよぉ」
雅紀が理由を説明するけど智は納得してない顔をしてる。