第10章 冬のニオイ <双子3歳>
そして…翌朝。
天気予報が当たって見事に一面銀世界。
「ぱぱぁ!おっき!ゆきーー!」
嬉しそうな智の声で起こされたのは翔。
「まーくん!
ゆきだるまっ!ゆきだるまっ!」
こちらは和也に起こされた雅紀。
呼び出されることなく朝を迎えていた。
潤はと言えば、寝かしつけしてそのまま寝たおかげで誰よりも早く起きて朝から双子のスキーウェアを出したり朝食の支度をしたりと誰よりもアクティブに動いていた。
早く外に出て遊びたいという双子を宥めて、朝食を囲む櫻井家の面々。
「ほら、ちゃんと食べないと遊べないよ?」
そう声をかける翔に智が期待に満ちた目で聞く。
「ごはんしたら……あしょぶ?
しょぅちゃんもしゃととあしょぶ?」
「まーくんもじゅんくんも!
おらふ、つくる?
おてちゅ、して?」
和也が目を輝かせながら、当然と言わんばかりに雅紀と潤にねだる。
こんなにお願いされたら…大人たちはそっと視線を交わし今日の午前中の予定をすべて諦めることにした。
「わかったよ、じゃぁご飯食べたら着替えて外に行くぞ!」
翔の声にニパッと笑うと智と和也は普段と打って変わった表情で皿の上のフレンチトーストにフォークを刺した。