第10章 冬のニオイ <双子3歳>
「えー」
「やー」
抗議の声をあげる智と和也。
「だーめ!
ほらねんねしないと明日、
雪が降っても遊べないよ?」
雅紀の一言に目が輝く双子。
「ゆき?あしょぶ?
しゃと、あしょぶ!」
「かず、ゆきだるま、つくゆ!」
「ほらそれなら寝ないと?
お熱出たら遊べなくなっちゃうよ?」
「らめーあしょぶ!」
「ゆきだるま!」
「じゃ、寝ようね?
ほら、翔さんと雅紀におやすみして?」
潤が双子の手を取り二人におやすみの挨拶をさせる。
翔は帰ってきたばかりだし、雅紀はオンコール当番だからいつ呼び出しが入るかわからない。
当たり前に双子の手を引き、寝室に向かった潤。
双子に絵本を読み、寝かしつける。
ただ…この寝かしつけ。
自分も一緒に寝てしまう確率が高いのも事実。
結局、潤も双子を寝かしつけながら自分も微睡みの中に落ちていった。
リビングにいた二人はいつまでも戻ってこない潤に顔を合わせる。
「どうやら…ミイラ取りがミイラになる…
のいい実例だね?」
雅紀がいたずらっぽい顔で微笑む。
「確かに…まぁ、潤も疲れてるもんね。
しかもあの二人といると癒されるし。
雅紀、今夜は?」
「マイナスイオン半端ないもんね。
呼び出されたら病院だよ。
大丈夫、
ちゃんと路面確認してから行くから…」
翔の気持ちは痛い程わかるから…。
そこはちゃんと約束してから雅紀は部屋に戻った。