第10章 冬のニオイ <双子3歳>
「ただいま。外めっちゃ寒いぞ」
双子を抱き上げた翔がリビングにはいってくる。
「おかえり、翔兄。
でしょ?雪降るってよ?」
雅紀がテレビを指差しながら言う。
「まだ降り出してはいないんだ?』
潤は双子を一人ずつ受け取りながら聞く。
「ああ、まだ降ってないけど…
今にも降りそうな空ではあったよ?
月あかりまったくなくったし」
リビングの床に降ろされたと智と和也はまたパタパタとリビングを走りながら「♪ゆきだるまつく〜ろぉ〜♪」と歌ってる。
その様子を見て翔が弟たちに確認するように聞く。
「もしかしなくても…雪、初めてか…」
「うん、ガッツリ積もるようなのは
初めてだね。
チラチラ降る程度は今年あったから
保育園で見たみたいだけどね…」
雅紀が答える。
「スキーウェア、役にたちそうじゃん?」
潤がいたずらっぽい顔で言う。
この冬、スキーに行こうと双子のスキーウェアを揃えたものの結局休みが取れなかったり、子どもたちの体調不良で何度も延期になり諦めていた3人。
どうやら…別の形でスキーウェアが活躍することになりそうで…その予想に苦笑するしかなかった。
もっともこのやり取りで腹をくくった3人。
そうとなればと双子を寝かすことにする。
「二人とも!ブロック片付けて!
そろそろねんねの時間だよ」
潤が二人に声をかけた。