第10章 冬のニオイ <双子3歳>
翔が帰ってくる時間には既に食事を終えた双子はお風呂も終えてリビングで遊んでいた。
雅紀はそんな双子を見ながら、ニュースを流しつつジャーナルに目を通していた。
『関東地方はこのあと雪になります。
明日までの積雪量は多いところで10センチ
都心でも5センチを予想しています…』
テレビから流れたその天気予報に思わず顔を上げる雅紀。
キッチンで洗い物をしてた潤も顔を出す。
「うわっマジか…」
翌日の出勤を想像して思わず呻いた雅紀。
「え?雪?降るの?」
潤は仕事は無いが週末の予定が一気に狂う予感に顔を曇らせた。
子どもいる家庭でしかも働いてる身にとって、週末は貴重なまとまった時間と言える。
「ゆき?」
「ふるの?」
「「♪ゆきだるまつく〜ろ〜♪」」
大人たちと正反対に大喜びな双子。
遊んでいたブロックはそっちのけでリビングを歌いながら駆け回る。
雪が降る前からまるで雪原を転げる子犬のような二人。
そこに車の音が聞こえてきたから二人揃って玄関へとダッシュする。
ガチャっと扉の開く音がして、入ってくる人に飛びつきたいのを懸命に堪える双子。
以前、あまりの勢いで飛びつき危うく大惨事になりかけ散々叱られた双子はその後も何度か失敗を繰り返しその度に叱られつつも、なんとか自制することが出来るようになってきた。
入ってきた翔にものすごい笑顔の二人。
「ぱぱ、おかえり!」
「しょーちゃ、おかえり!」
そのまま、翔にだきついた。