第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
月曜日の朝、保育園に送りに行った翔は担任のまゆみ先生にこの週末の出来事を話した。
その上で、下のクラスのさとみちゃんに手紙を渡してもらえるようにお願いをして保育園を出た。
そのときに一通の手紙を託した。
一生懸命、文字を書いた双子だけど所詮は4歳児の書く文字で如何せん読みづらい。
そこで解説ではないが一応なにが書いてあるかを伝えるために短い手紙を付けたのだ。
親としては少しでも二人の気持ちを正しく伝えたいと思ったから…。
そんなことがあったのが夏の終りの話。
そして冬の気配が街にやってきた頃、双子が嬉しそうな顔で帰ってきた。
手には小さな袋があった。
珍しく双子よりも早く帰ってきてた翔が二人に声を掛ける。
「おかえり!二人ともなんかいいことあったの?
すごいニコニコしてるじゃん?」
「あのね!さとちゃん、ほいくえんにきたの!」
「これ、さっちゃんかもらったの!
あ、これ!
ぱぱにって!」
和也が手にしていた封筒を翔に渡す。
「え?俺?」
「「うん!」」
大きく頷く双子たちから不思議そうな顔をしながら翔は封筒を受け取った。
封筒を開くと中には便箋が入っていた。
薄く綺麗な便箋を開くと美しい万年筆の文字でメッセージが書かれていた。