第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
トレイ2つを持ってテーブルに戻ってきた潤は買ってきたものを次々と分けながらそれぞれの前に置いていく。
智と和也の前には半分に切られたハンバーガーとチキンナゲット、そしてそれぞれにスイートコーンに野菜ジュースが置かれる。
「二人とも仲良く食べなね。
おもちゃは?」
「「たべてから!」」
声を揃えて答える双子。
日頃から潤に言われてるのでこの辺は流石に解っているようだ。
「はい、翔さんはこれね?」
潤が翔に包み紙を手渡す。
「何これ?」
「なんか新作らしい。
ネタになるでしょ?こういうの」
「お気遣い、感謝!
潤も同じ?」
「そう、物は試しだからさ。
あ、コーヒーとコーラどっちがいい?
俺、どっちでもいいから翔さん選んで?」
「うーーん、じゃコーラ?」
翔のもとに差し出されるカップを受け取り一口、口にする。
「パパ、それな〜に?」
智が興味深げに聞いてくる。
「パパ、しゅわしゅわ?」
若干、警戒を込めた目で翔を見る和也。
「そう、しゅわしゅわ。
飲んでみる?」
ちょっと聞いてみるとものすごい勢いで首を振る智と和也。
まだ小さかった頃、どうしても飲みたいと駄々をこねた二人に物は試しと飲ませたことがある。
たった一度、ほんの一口だったけど二人にはすごい衝撃だったらしく、その後二人に危険物認定された炭酸。
面白いのでつい、からかう翔を潤が少し呆れた顔で見ていた。