第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
ハッピーセット…。
それは子どもたちにとっては非常に魅力的だが親からすると非常に厄介なものだったりする。
時期ごとに変わるおもちゃは子供番組で大量にCMが流され、たとえわが子が見ていなくても保育園でいつのまにか情報を仕入れてくる。
おもちゃもキャラクター物からゲーム用のカード、プラレールなど多岐にわたる。
もちろん十分にクオリティの高いものもあるが所詮、おまけ。
しかし子ども達は子ども独自の価値観でたまに遊ぶため家の中に余計なおもちゃが溜まってしまい本当に親泣かせの代物であったりする。
家の近くのショッピングモール。
翔たちはフードコートの一角にある某ハンバーガーショップ。
「で、今回はなんなの?」
翔の呟きに智と和也がキャッキャと飛び跳ねながら言う。
「あのねーぷられーるなの」
「ぼくね、どくたーいえろーがいいなぁ」
「智はらぴーとがいい!」
「いやいや、選べないって書いてあるよ?」
興奮する双子に潤が冷静にツッコミをいれている。
「とりあえず、並ぶわ。
翔さん、二人と座ってて?
二人とも飲み物は牛乳?野菜ジュース?」
潤が慣れた調子で二人に聞く。
翔も雅紀も土曜日に出勤するから双子とこうやって外で食べる回数は潤が圧倒的に多い。
「潤くん、ぼく、やさい!」
「ぼくも!」
元気にオーダーする双子に了解と言うと列に並ぶ潤。
軽く振り返って翔のオーダーも聞く。
「俺、潤と同じでお願い」
そう言うと空いてる席に双子とともに座った。