第3章 a day in our life <双子2歳>
翔としては仕事に復帰した時点で子どもたちの不測の事態に対して何重にも保険をかけたつもりだが…。
「そんなに心配しなくても、何かあれば俺じゃなくて潤くんか雅紀のところに連絡が行くから…。
番組には穴をあけないから安心してよ」
「いや、そういう意味やないって…」
横山が苦笑した。
「翔くんが万全の態勢で番組に臨んどるの知っとるから。
たださ、なんかあれば、すぐに帰してあげたいやん、双子のところに?
知ってれば対処出来る部分が出てくるやろ?」
「いや、まぁそうだけどさ…」
いまいち納得していない表情の翔。
「日頃から東山さん、言うてるやろ?『チビがチビなのは一瞬だよ』って。
うちの弟らみてても思うけどほんま、あっという間に生意気になるで?
まぁそれも可愛いんやけどさ。
とにかく、むりすんなや?」
「ってか、お前なにしに来たの?」
おおよそアナウンサーとは思いがたい砕けた口調で聞く翔に横山はにやりと笑う。
「麗しの翔ちゃんのご機嫌伺い?と兄バカののろけ?をしに来たん」
「おまっ!下んないことで俺の貴重な時間を…」
怒りに震える翔に横山はさらりと「ミーティングはいつもの時間やで?」と言うだけ言ってアナウンス部を出ていった。