第3章 a day in our life <双子2歳>
双子たちが1歳半になる4月、育児休職を終えた。
もともと予定していた期限だった。
かなり前から会社とは何度も話し合いを持ち、双子たちの保育園も無事に決まって新たな生活が始まった。
あれから1年。
色々あったけどこの生活にも慣れた。
「おはようございます」
いつものようにアナウンス部に挨拶しながら入る。
鞄を手にまずは定位置へ。
部長の予定表に目をやると今は不在だった。
現在、午後からの生放送を担当している翔。
部室内のモニターに映る現在放送中の番組を確認しながらパソコンを立ち上げた。
メールを確認し、必要な返信をしていると頭上から声がかかる。
「翔くん、おはようさん」
関西弁の挨拶が聞こえる。
その声に目を上げるとフロアーディレクターの横山がいた。
「ヨコ、おはよう」
横山は翔と同期入社で制作側の人間だ。
今は翔が担当している午後の情報番組のフロアーディレクターをしている。
「今日はさとちゃんもかずちゃんも元気に保育園に行ったん?」
「うん、元気いっぱいに保育園に行ったよ」
ほかの番組ではディレクターをする横山。
生放送の現場が好きだという理由で翔が今の番組に復帰したときに担当のフロアーディレクターとして番組に参加した。
双子たちのことも知っており、よく話をする。
横山曰く、危機管理の一環らしい。