第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
「潤くん、あーそーぼー」
「…智…潤くんとねんねしよ?
お布団ぬくぬくでキモイいいよ?」
無邪気に声をかける智を布団の中で抱っこすると智の髪の毛を撫でながら潤が言った。
「んふ、おふとん…あったかーい…。
潤くんのにおいがするねー」
のんびり喋る智の口調が眠気を誘う。
「ほら…ねんね…しよ?」
「んー?うん、いいよ…。
潤くん、いっしょ?」
「そう…いっしょ…ね?」
腕の中の柔らかい香りを抱きながら潤は再び眠りにつくことに成功した。
もちろん腕なのかの智も…。
二人の幸せな時間は和也と朝食を用意した翔に起こされるまで続いた。
4人で遅めの朝食を摂ったあとは家事。
土曜日は保育園から持って帰ってきたタオルとかの洗濯があるからいつもよりも大変。
それても最近は智も和也も遊び感覚で手伝ってくれるようになってきた。
まだまだ雑で後から手を入れることになっても経験が大事だからと、土日はなるべく子どもたちの好きなようにさせている。
今日も洗濯の終わった保育園用のタオルケットを引きずるように持とうとする智のフォローをしつつ一緒に物干しに干す翔。
「翔ちゃん、みて!きれいにほせたよ!
ぱんぱんもできた!」
小さな手でシワを伸ばすために何度も挟む。
「お、智、上手じゃん!」
翔は干し終わった直後の智のドヤ顔が可愛くてベランダで抱きしめた。