第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
「よし、行こうか?
ん?和?ボタンおかしいくない?」
雅紀が和也のパジャマを見ながら言う。
「ほら青のボタンが赤に入っちゃってるよ?
同じ色のところにしないと?ね?」
「え?あーほんとだ!
まーくん、やって?」
甘えた声で言う和也。
「まーくんがやるの?」
そんな事を言いながら素早くボタンを直す雅紀。
「ほら出来たよ?智もいくよー」
「うん!いくぅー。
パパ、潤くん、おやすみなさい」
小さくお辞儀すると、そのまま潤に飛びつく智。
「潤くん、ぎゅーして?」
寝る前の習慣になっているから潤も笑顔でそれに応じる。
「パパもー」
潤の腕から離れると今度は翔のもとへ行く智。
「はい、智、ぎゅーね?ゆっくり寝なね?」
「うん!」
ニコニコ顔の智はそのまま雅紀の元に行く。
入れ替わりに和也が翔と潤に抱きつく。
「潤くん…だっこ。
いっしょにいこ?」
和也が潤の事を上目遣いで見ながらせがむ。
それを見た智も雅紀に抱きつく。
4歳になったとはいえまだまだ甘えん坊の二人。
そしてそんな二人に甘いのは大人たちも同じなわけで…。
「いいよ、和。
じゃ潤くんと一緒にお布団に行こうね?」
「よし、じゃ行くぞ!」
雅紀が智を抱っこしながら先を歩きはじめた。
その姿を穏やかな顔で見ている翔。
こうしていつもの夜が更けて行った。