第9章 小さな恋のうた <双子4歳>
「さ、ふたりとも
そろそろねんねの時間だよ?
歯磨きして、お部屋にいかないとね?」
翔が時計を見ながら言うが双子はなかなか動かない。
「ほら、二人とも?
今日はまーくんが絵本読んであげるから
歯磨きしたら本を選んで寝ようね?」
雅紀の声を号令にしてようやく動き始めた二人。
「智、和、おやすみ。
雅紀は疲れてたら
そのまま寝ちゃって大丈夫だから。
明日は?出勤?」
翔が雅紀に声をかける。
「あはは、寝ちゃったらごめん。
明日は日勤だから…
朝は適当に食べてくから。
あっ、潤も寝てていいからね?」
シフトで働いてたり時間がバラバラな大人たち。
互いに気を使いながら、みんなで仲良く暮らしていくための方法を常に考えている。
「雅紀、明日も仕事なんだ。
土曜日なのにお疲れ様。
無理はすんなよ」
翔が少し心配そうに言う。
「大丈夫だよ、翔兄。
翔兄こそゆっくり休んでね」
そこにいつの間に歯磨きに行ってた智と和也が戻ってきた。
「まーくん、いこ?」
雅紀のルームウエアの裾を引っ張りながら和也が言う。
お気に入りの黄色のパジャマを着て若干ドヤ顔の和也。
最近ボタンを嵌めることを覚えた和也はきっと上手くできたんだろう、かなり上機嫌だ。
今のところボタン付きのパジャマが1着しかないのでこのパジャマを洗濯していると機嫌が悪い。
その辺、智は頓着しないので今日もボタンなしの青のパジャマでニコニコしてる。