第3章 a day in our life <双子2歳>
保育園に着くと専用のパソコンにパスワードをいれ打刻する。
教室で二人分の荷物をロッカーに入れて二人を連れて担任の元へ。
「しぇんしぇー、おはよーごじゃましゅ」と智。
「せんせ、おはよぅございましゅ」と和也。
二人とも先生に挨拶すると翔に手を振る。
「しょーちゃ、ってらっしゃい」
「しょーちゃん、がんばって」
二人ともたまに父親のことを名前で呼ぶ。
以前、雅紀と潤がふざけて翔のことを呼んでた呼び名が気に入ったらしく、たまに名前で呼ぶ。
本来ならば注意するべきところだろうが…翔たちは特に気にする様子もなくそのままにしている。
そもそも伯父である雅紀や潤のことを名前で呼んでいる二人。
父親だからという理由だけで名前で呼ぶのを止めるのはおかしいと思った。
翔は戸籍上、父親になるがその実、二人の伯父であるわけで…【父親】というモノを振りかざす気はない。
なので意味が分かるようになってから説明した上で選択させればいいだろうと考えたのである。
「智、和、行ってくるね。
いっぱい遊んで楽しんでね?」
そう二人に声をかけ、保育園を後にする。
そのまま職場へと向かう。
二人と別れる際、翔は決して「いい子でいてね」とは言わない。
長い時間を過ごす保育園だ。
いい子でいることを強要するより、楽しんだ方がいいに決まってる。
もちろんルールは守る必要はあるけどその範囲内であれば敢えていい子と言われるような態度を取る必要はないと思っている。
こうして、朝の一仕事を終えた櫻井翔。
気持ちを切り替え、アナウンサーとしての1日が始まる。