第8章 お正月 <双子6歳>
と、なると和也の夢も気になってきた3人は和也に聞いてみた。
「和は大きくなったら何になりたいの?」
その質問に和也は少し照れくさそうな顔をしながら、それでもまっすぐな視線を返して言った。
「僕?僕はねぇ…テレビの人。
パパみたいになるの。
でも…お歌も歌いたいし、ピアノももっと上手になりたいの」
「ふーん、じゃぁアイドルとかタレントとかそんな感じ?」
雅紀の一言に潤が話を膨らませる。
「いいじゃん、和、アイドルになったら翔さんと共演とかもあるかもね?」
「え?パパと一緒にテレビ?」
「うん、だってさ、今だってさ時々モデルのお仕事してるじゃん。
その延長でいったら案外、なれちゃうかもよ?アイドルに」
潤の言葉に智がほっぺたを膨らませて、ずるいと連呼した。
「ずるいって…」
翔が苦笑する。
「だったらさともなればいいじゃん?アイドルに?」
雅紀がまたとんでもないことを言いはじめる。
「だって…工事中の人…」
「建築家アイドルも面白いかもよ?」
潤が半ばおもしろがって言った。
そんな光景を思い出しながら翔はロンドンの街を子どもたちと歩いた。
途中、色々な店に寄って買い物をしたり、裏道にあるカフェで休憩したりしながらゆっくりとオックスフォードストリートに向かう。
そして夕方。
斗真と合流した。