第8章 お正月 <双子6歳>
ロンドンに来て6日目。
さすがに散々歩いたせいか、この日は昼近くまでのんびりした5人。
夕方、斗真と合流するまで、真冬のRegent Streetを散歩がてら歩くことにした。
ピカデリーサーカスからオックスフォードサーカスまでのおよそ1.4kmの大通りの両サイドに様々な店が並んでいる。
ピカデリーサーカスからリージェントストリートを覗くと見事な弧を描いて建物が建っている。
「うわーーすごい!
マルみたいになってる!」
智が興奮したような声を上げる。
その声に休み前に保育園で先生から聞いた話を思い出した。
最近なぜか「工事中の人になりたい!」と言っている智。
最初はまったく意味が分からなかった大人たちだがよくよく話を聞いていくと、どうやら建物を建てる人、つまり建築家になりたいということらしい。
保育園でも最終学年になり、子どもたちは子どもたちなりに将来の夢を考えるようになる。
保育園の先生、アイドル、パティシエにサッカー選手や宇宙飛行士…。
子どもたちの夢はある子は現実的で別の子はすごく大きな夢を見ていて…大人には至極眩しく見える。
「僕、大きくなったらパパたちにお家作ってあげるね?
あと橋作って、公園も作って…」
目をキラキラさせながら何度も自分の夢を語っていた智。
パパたちにお家をつくりたいという智の言葉に3人は素直にありがとうと返す。
その度に綺麗な笑顔を返す智に癒された。