第8章 お正月 <双子6歳>
たくさん歩いて色々なものを見た5人。
「二人とも今日はたくさん歩いたから疲れただろう?
どうする?抱っこする?」
潤が二人に声を掛ける。
大人たちだって疲れたんだから子どもたちはもっと疲れただろうと思って言った。
「ううん、大丈夫。
和、お兄さんだもん」
「ぼくも平気。
この後どっか行くの?」
智も和也も疲れなんて欠片もないって顔で潤に聞く。
「だってよ、翔さん。どうする?」
「うーん、でもけっこういい時間よ?
二人とも、今日はB&Bに戻らない?
明日、斗真と一緒に出掛けるし…」
「そうだね、二人とも今日は戻ろう?
お熱出たりしたらいやだろう?」
雅紀も戻ろうと声を掛ける。
「えーーー?大丈夫だもん!
お熱でないもん」
智が首を振って否定する。
「僕も平気だもん!」
和也も一緒になって言う。
「智くん?和くん?
二人ともお兄さんなんだよね?
だったらさ、無理をしないって言うのも大事だと思うんだけど」
翔の口調が改まる。
その瞬間、智と和也の顔色が変わる。
翔がこういう口調で話すときは大概怒られる時。
それがわかった二人は咄嗟に顔を合わせ目線で会話するようなそぶりをした。
「パパ、ごめんなさい。
僕…帰る」
和也がまず白旗をあげた。
この辺、和也の方が柔軟である。
でも智はなかなか素直になれなくて帰るの一言が言えずにいる。
十分すぎる位にそんな智の性格をわかっている雅紀と潤は助け舟を出した。
一人が厳しくしたら他はフォローにまわる。
三人の自然な動きがこの日も発揮された。