第8章 お正月 <双子6歳>
怖がる智たちを抱き上げ、ブースを出た翔たち。
「ちょっと休憩しようね?」
そのまま5人で博物館内のカフェに移動した。
「二人とも怖かった?」
翔が改めて聞くと頷く双子。
「でもね、あれ、昔本当にあったんだよ?」
潤が真剣な目で言う。
「日本は地震が多い国だからね?
日頃から備えておくことが大事なんだよ?」
雅紀も真剣な顔で言う。
と同時に大人たちはもしものときのことを考えておく必要をひしと感じた。
自分一人ならそんなに考えもしなかったかもしれない。
大人だけならそこまで真剣には考えないだろう。
でも…子どもたちがいる。
大事な宝物を守るための算段を改めてしないといけないとおもった。
しばらくカフェで休んでからまた見学に戻った5人。
たくさんの宝石をみたり、生物の進化をみたりする。
そして…この博物館のメインといってもいいであろうブルーゾーンの恐竜のコーナーに足を踏み入れた。
迫力のある巨大な恐竜の骨骼標本に智も和也もただただ魅入っていた。
「すごい…恐竜ってこんなに大きかったの?」
「うん、そうみたいだよ?」
男の子はだいたい成長の過程で車や鉄道などの乗り物、恐竜、昆虫のいずれかに夢中になると言われている。
翔と潤は小さい頃、車に夢中だった。
雅紀は恐竜に夢中になったから和也と智に説明しながら進んでいった。